2012/08/29

ロミオの過去 その6








学園前の砂場でみんなが遊んでいた。
楽しそうな笑い声が響き渡る。





















ロミオ「・・・・。」





















ミランダ「ロミオ。」


いつの間にかミランダが部屋に入ってきていた。
















ミランダ「私今日病院行ってきたんだ。」

ロミオ「・・・・。」

ミランダ「退院後の検診でね。」

ロミオ「ふぅん。」















ミランダ「私、知ってるんだ。あんたがあの子に会いに行ってたこと。」

ロミオ「・・・・。」

ミランダ「あの子、死んじゃったんだね・・・。」

ロミオ「・・・・。」

ミランダ「あんたのせいじゃないよ。先生だって言ってた。あの子がいままで生きてこれたのも奇跡だって。」











ミランダ「だから自分のこと責めるのは・・・。」

ロミオ「ミランダ。」

ミランダ「・・・なに?」



















ロミオ「俺、ここを出る覚悟できた。」

ミランダ「え・・・?」

ロミオ「俺が中学にあがったら、一緒に逃げよう。」

















ミランダ「本気なの?」

ロミオ「あぁ。お前も本気で言ったんだよな?」

ミランダ「そうだけど・・・。」

ロミオ「二人で逃げよう。ここから。」

ミランダ「うん・・・。約束だよ。」













ロミオ「約束だ。二人だけの。」












































その後俺とミランダは本当にそれを実行することになる。
まぁそれまでにはいろいろあったんだけどな。




















まだまだ話は続くが今日のところはこのくらいにしておこう。
こいつが風邪をひいちまう。





















ロミオ「おい。」


アイビーはぐっすり眠っているようだ。


ロミオ「 (こいつ、一度寝たらホントおきねぇな。) 」














俺がここに庭を作ったのは、いつでも彼女のことを思い出せるように。
植物が好きだった彼女を。
だからなるべく誰も入れたくない、俺の秘密の場所だ。
でも、お前の目は驚くほど彼女にそっくりだ。
俺はお前を彼女に重ねているのかもな・・・。

















アイビーの体を軽々と持ち上げる。


アイビー「う~ん・・・。」

















アイビー「ロミオ・・・・愛してる。」




















ロミオ「俺も・・・・愛してるよ。」





















俺の昔話の続きは、またいつか。






















気が向いたらな。






















































































ラトーシャ「素敵だね。」

ディーン「気に入った?」

ラトーシャ「うん。おしゃれしてこいって言うからなにかと思ったけど。」















ディーン「たまにはこういうのもいいだろ?」

ラトーシャ「うん。でもこういうとこって高いんじゃないの?」

ディーン「大丈夫だよ。そんなこと気にすんなって。」

ラトーシャ「うん。」















ラトーシャが演奏に耳を傾ける。





















ディーン「 (俺たち、付き合ってもうすぐ1ヶ月だもんな・・・。) 」





















ディーン「 (最近俺が夜勤続きだったのもあるけど、夜のデートは久しぶりだし・・・。今日こそ・・・。っていうか、ラトはそのへんどう思ってるんだろう?) 」



















ディーン「 (ラトがヴァージンだから、一応ゆっくり進めてきたつもりだけど・・・。ラトもそろそろ意識してたりすんのかな?) 」




















ディーン「あのさ、ラト。」

ラトーシャ「うん?」

ディーン「ちょっと・・・踊らない?」

ラトーシャ「いいよ?」















二人はダンスホールの真ん中へ移動した。


ラトーシャ「久しぶりだね。こうやってディーンと踊るの。」


















ディーン「あぁ。高校のプロム以来だなw」

ラトーシャ「覚えてたんだ?」

ディーン「もちろん覚えてるよ。俺あの日アイビーと二人で行って恥ずかしかったんだw」

ラトーシャ「アイビーはいろんな子に誘われてたのに、ディーンがいるからって断ってたらしいね。」

ディーン「あぁ。お互い恋人いなかったしなw」












ディーン「お前は誰と行ったんだっけ?」

ラトーシャ「ララたちと男女のグループでいったな。みんな恋人いない人ばっかりで。」

ディーン「そっか。俺らも呼んでくれればよかったのに。」

ラトーシャ「そしたら絶対男共がアイビー狙うでしょw」

ディーン「あ、そっかw」












ディーン「懐かしいな~プロムとか。俺あんときに戻ってたらラトと楽しくやれてたかなw」

ラトーシャ「あのときのままだったらディーン、私のことなんてきっと好きじゃなかったよ。」

ディーン「そうかな?」

ラトーシャ「だって、ジムさんがいたから気づいたんでしょ~?」

ディーン「あ、そっかwww」

ラトーシャ「もうw」








ディーン「ラト・・・。」

ラトーシャ「急にどうしたの?」

ディーン「あのさ・・・今日、ホテル泊まらない?」


















ラトーシャ「え・・・?」

ディーン「明日休みだよな?」

ラトーシャ「そう・・・だけど・・・・。」

ディーン「俺夜勤だから夕方からだし、そろそろさ・・・。」













ディーン「もし嫌だったら、別に今度でもいいんだけど。」

ラトーシャ「嫌じゃないけど・・・。」

ディーン「怖いか?」

ラトーシャ「ちょっと・・・。」

ディーン「・・・じゃあさ、なんもしないから一緒のベッドで寝ない?」














ラトーシャ「・・・ホントに、それでもいいの?」

ディーン「うん。お前がまだ覚悟できてないっていうんだったら、俺はいつまでも待つし。」

ラトーシャ「・・・・うん。」















ディーン「それに急にそういうことするよりさ、一緒に寝てもっと慣れてからのほうがいいだろ?」

ラトーシャ「・・・眠れるかな?」

ディーン「眠れなかったら俺ソファーででも寝るし。」

ラトーシャ「それはいいよ。明日仕事あるんだし。」













ディーン「大丈夫だよ。」

ラトーシャ「ディーン・・・眠るだけでもいいの?」

ディーン「俺はお前と一緒にいたいんだ。寝るときそばにいてくれればそれだけで満足できるし。」















ラトーシャ「じゃあ・・・いいよ。」

ディーン「ホントに?」

ラトーシャ「うん・・・。」

















ディーン「やばい。すげぇ嬉しい。」

ラトーシャ「ホントに大丈夫?」

ディーン「いや、その保障は・・・。」

ラトーシャ「え?」

ディーン「嘘嘘www 我慢するから大丈夫!」

ラトーシャ「我慢って・・・。」

2012/08/28

ロミオの過去 その5







俺たちが病院に戻った頃にはすっかり日は沈んでいた。











































ジュリエット「ねぇロミオ。」

ロミオ「なんだ?」

ジュリエット「恋人同士ってキスするんでしょう?」




















ロミオ「え?」

ジュリエット「絵本のロミオとジュリエットもキスしてたわ。」

ロミオ「・・・まぁ、するかもな。」


















ジュリエット「私たち、恋人同士だよね。」

ロミオ「あぁ。」

ジュリエット「キス、していいよ?」


















ロミオ「・・・・。」

ジュリエット「ロミオはイヤ?」

ロミオ「イヤじゃないけど・・・。」

ジュリエット「私、ロミオならいいよ。」

ロミオ「・・・・。」














ジュリエットが目を閉じた。





















俺は正直戸惑った。
彼女がこんなに積極的だとは思ってもみなかったからだ。
それに俺にはまだ心の準備ができてなかった。
困惑した顔で俺はジュリエットの唇を見つめていた。


















しかしいつまでもこうしているわけにはいかない。
ジュリエットの勇気を踏みにじるわけにはいかない。
俺は覚悟を決めた。




















やり方なんてわかるわけない。
俺だってはじめてだったんだから。
勢いをつけすぎておでこがぶつかった。



















彼女の唇は少し冷たかった。
そしていままで感じたことがないくらい、柔らかかった。
あのキスの感触はきっと一生忘れられない。




















俺たちが病室へ向かっていると廊下の奥からジュリエットの母親が飛んできた。


母親「ジュリ!!」

ジュリエット「ママ・・・。」
















母親「あぁよかった!どこに行ってたの?ママ心配したのよ。」

ジュリエット「ごめんなさいママ。私が行きたいって言ったの。彼は悪くないの。」




















ジュリエット「私が悪いの。お願いだから彼を責めないで。」

母親「えぇ、わかっているわジュリ。いいのよ。あなたが無事ならそれでいいの。」

ジュリエット「ごめんなさいママ。」


ジュリエットはずっと俺を庇っていた。



















俺はなにもできず、二人を眺めているだけだった。
そのあとかけつけた学園長と教育係のジョフリーに俺はきついお仕置きを受けた。
いわゆる体罰ってやつだ。












































エレン「そう。ご苦労だったわね。」

ジョフリー「はい。」



















エレン「まったく・・・本当にめんどうなことをしてくれたよ。」

ジョフリー「どうしますか?」

エレン「当分は部屋から出すんじゃないよ。1ヶ月くらいは必要だね。」

ジョフリー「学校のほうは・・・。」

エレン「ウイルス性の風邪ってことにしておいてちょうだい。」

ジョフリー「はい。」












ラウル「クロ、いったいなにしたんだよ。」





















ラウル「俺たちにも言えないような悪いことしたのか?」

ダレール「クロちゃん・・・。」




















ラウル「なんとか言ったらどうなんだよ。」

ダレール「・・・・。」



















ジミーだけはなんとなく気づいているようだった。
だけどジミーはなにも言わず黙ってくれていた。





















俺はなにも言えなかった。
いや、言いたくなかったんだ。
彼女のことは俺の中だけの秘密にしておきたかった。
俺にとって、彼女は天使だった。



















2週間後、学園長とジョフリーが隣町へでかけた。
教えてくれたのはジミーだった。
俺は学園を抜け出し、急いで病院へ向かった。




















彼女の笑顔を見るために。





















面会の時間が迫っていた。
俺は病院に着くと自転車を投げ出し走った。




















ジュリエットの病室のドアを開ける。


母親「!」


















ロミオ「!」

母親「ロミオくんね。」

ロミオ「・・・・。」


















母親「私はジュリエットのママよ。この前会ったの、覚えてるかしら。」

ロミオ「はい・・・。」

母親「よかった。あなたが来てくれて。」

ロミオ「・・・・。」

母親「ずっと待っていたのよ。」













母親「ロミオくん、落ち着いてよく聞いてね。」

ロミオ「・・・ジュリは?」

母親「ジュリは死んでしまったの。」


























ロミオ「え・・・?」

母親「昨日の朝、息を引き取ったのよ。」





















母親「あの子、最後まであなたに会いたがってたわ。ありがとうって・・・あなたに会えて幸せだったって・・・。」


母親の瞳から涙がこぼれた。















ロミオ「嘘なんでしょ?俺とジュリを会わせないようにするために、嘘ついてるんでしょう?ジュリはどこに行ったの?」

医師「ロミオくん・・・。」

母親「本当なの。今日、あの子の葬儀があって・・・この部屋ももう今日で片付けなきゃいけなくて・・・あなたが来るのを待っていたのよ。」

ロミオ「そんなの嘘だ!」












母親「ごめんなさいロミオくん・・・。」


母親が俺を抱きしめた。


ロミオ「みんなで俺をだまそうとしてるんだ!何で嘘つくんだよ!」

母親「嘘じゃないのよ。私もそう思いたいけど・・・あの子はもういないの。」












ロミオ「そんなの嫌だ!!嫌だぁ~!!!」


俺は泣き叫んだ。
ジュリエットの母親は強く俺を抱きしめていた。
いつまでも。

















俺がみた彼女は、あのエレベーターでのキスが最後になった。
俺の恋した彼女はもういない。
この世界のどこにも。