リサ「いつの間に車なんて買ったの?」
アラン「最近。今朝ようやく届いた。」
リサ「へぇ~。」
リサ「引越し先、決まってないんでしょう?」
アラン「うん。」
リサ「どこの街かも?」
アラン「なるべく遠く。」
リサ「まるで逃亡犯ね。」
アラン「・・・・。」
リサ「リアの帰りは待たないの?あの子が仕事から戻ってから出発すればいいのに。」
アラン「そしたらよけい別れ辛くなるだろ。」
リサ「まぁ、妬けちゃう。」
アラン「・・・・。」
リサ「ホントに好きなのね、リアのこと。」
アラン「・・・・。」
リサ「あの子のどこがそんなによかったわけ?」
アラン「リサには一生わかんないよ。」
リサ「そうかもね。」
アランの乗り込んだ車が発車する。
玄関先でそれを見つめるリサ。
車が遠ざかっていく。
リサ「・・・・。」
リサ「 (3年か・・・。あっという間ね・・・・。) 」
アランが越してきてから、私はすぐにアランを気に入ったわ。
だから何度も色仕掛けで落とそうとした。
リサ「あら。入ってたの?」
アラン「・・・・。」
リサ「誰もいないと思って部屋から下着のまま来ちゃった。」
リサ「どうせだから一緒に入る?」
アラン「・・・もう出る。」
リサ「いい体してるじゃない。私はもうちょっと筋肉あったほうが好みだけど。」
アラン「・・・・。」
リサ「下もすっごく立派。おいしそう♪」
リサ「アランって、恋人いないんでしょう?」
アラン「・・・・それがなに?」
リサ「私と遊んでみる気はない?」
アラン「・・・・。」
リサ「私、すっごくうまいって言われるのよ。」
アラン「興味ない。」
リサ「 (また失敗しちゃったか~。私のこのナイスバディを見ても起たないなんて、あいつやっぱりゲイなのかしら?) 」
でもその1週間後、私は偶然みかけたのよね。
アランが男と一緒にいるところを。
リサ「 (今日ホストクラブのバーテンの仕事ないって言ってたのに・・・。あの男だれ?ていうか二人が向かう先って、ホテル街のほうじゃ・・・。) 」
跡をつけた私は、アランが家に帰ってから問い詰めた。
アラン「なに?今帰ったばっかりなんだけど。」
リサ「私もよ。」
リサ「さっき見かけたのよね。あなたが男とホテルから出てくるところ。」
アラン「・・・それがなに?」
リサ「あいつ、あなたの働いてるホストクラブのナンバー1でしょ?あの男と付き合ってるの?あなたやっぱりゲイなんでしょう?」
アラン「・・・・。」
リサ「誰にも言わないから教えてよ。そしたらもうあなたにモーションかけるのやめてあげる。」
アラン「知りたい?」
リサ「ええ。」
アラン「・・・・入りなよ。」
リサ「・・・・。」
リサ「あなた、ゲイなの?」
アラン「・・・・違う。」
リサ「でもホテルから出るところを見たわ・・・・。あの男とは寝たの?」
アラン「寝た。」
リサ「・・・・・。」
アラン「あんた、俺と寝たいんだろ?」
リサ「・・・・・。」
アラン「金出せばなんでもしてやるよ。あんたのこと抱いてやるしご奉仕もしてやる。男でも女でもな。」
まさかの答えだった。
求めていた答えと全然違っていたから。
ゲイだと言われたほうがよかったのかもしれない。
でも結局私はアランの魅力には勝てなかったわ。
そしてすぐに虜になった。
きっと女でも男でも、アランの魅力に勝てるやつなんていない。
それはまるで、悪魔の媚薬だった。
リサ「結構・・・・好きだったんだけどな・・・・。」
リサが小さくため息をついた。
アランが街を去ってから2ヶ月が過ぎた。
12月の暖かい日。
レオンが玄関のチャイムを鳴らす。
リア「はぁ~い。」
中からリアの声が聞こえる。
玄関のドアが開いてリアが顔を出す。
レオン「遅くなって悪い。来る途中でワルガキがカツアゲしてるのみかけちゃってさ。」
リア「それはいいんだけど・・・どうしたのその顔。」
レオン「あ~、昨日犯人と格闘したときに殴られてさ。」
リア「大丈夫?痛そう~。」
レオン「たいしたことねぇよ。ふいうちだったからよけきれなかっただけだ。」
リア「も~、気をつけてよね。ナイフとか持ってたらどうするのよ。殴られただけですんでホントによかった・・・。」
レオン「ははw そうだな。(実はナイフ取り上げるときに殴られたなんて言えねーな・・・。) 」
リア「外寒い?コート持っていったほうがいいかなぁ?」
レオン「ああ、今はあったかいけど夜になったら冷えるだろうな~。」
リア「そうだよね。ちょっと待っててくれる?」
リア「コート取ってくるね。」
レオン「おう。」
リサが階段を下りてくる。
リサ「あら、声がすると思ったらレオンさん来てたの。」
レオン「よぉ。お邪魔してるぞ。」
リサ「毎週お迎えご苦労ね~。今日はどこに行くの?」
レオン「ちょっとブリッジポートまで。」
リサ「ブリッジポート?珍しく遠出ね。」
レオン「泊まりでな。」
リサ「へぇ~。いいわね。」
リサ「あ、そうだリア。さっきロケットくんから電話があって、このあと来るって。あなたのところに電話したら繋がらなかったそうよ。」
リア「そうなの?全然気づかなかった。来週って言ってなかった?」
リサ「来週はムリになったらしくて。」
リア「どうしよう・・・私でかけちゃうし・・・。」
リサ「いいわよ。私が案内しておくから。」
リア「お願いできる?ごめんね。」
リサ「気にしないで。」
レオン「おい、ロケットってあのロケット・シドニーか?会社の?」
リア「うん。」
レオン「なんでここにロケットが来るんだ?」
リア「あとで話すつもりだったんだけどね・・・。」
リサ「うちに住むことになるかもしれないから、家を見に来るのよ。」
レオン「ここに住む・・・?」
リサ「ええ。リアまだ話してなかったのね。」
リア「だからあとで話そうと・・・。」
レオン「ちょっと来い。」
リア「ちょ・・・レオンさん・・・。」
レオンがリアの手を引いて部屋へと入っていく。
リサ「 (あらあらw) 」
リア「ちゃんとあとで話すつもりだったんだよ?」
レオン「・・・・。」
リア「怒ってるの?」
レオン「怒ってるよ。こないだまで女が住むって言ってただろ?あれはどうしたんだよ。」
リア「それが・・・なんか、彼氏と同棲することになったらしくて、ドタキャンされて・・・。そのことをロケットくんに話したら是非家を見たいって・・・・。」
レオン「なんであいつなんだよ。タイラーならまだしも・・・。」
リア「タイラーさんだったらよかったの?」
レオン「よくねぇよ。男はダメだ。絶対に。」
リア「でも・・・私の一存で決められることじゃないし・・・それに男の人がいたほうが安心だって大家さんも言ってるし・・・。」
レオン「ダメだ。絶対に許さん。」
リア「そんなこと言われても・・・・。」
レオン「リア、お前ここから引っ越せ。」
リア「え??」
レオン「ロケットが入る前にだ。一日でも同じ屋根の下で暮らすな。」
リア「そんなのムリだよ・・・。引っ越すお金なんてないし・・・。」
レオン「俺が家を借りる。一緒に暮らそう。」
リア「え・・・?」
レオン「貯金は十分あるし、一軒家でも借りて二人で住もう。」
リア「本気で言ってるの・・・?」
レオン「ああ。」
リア「私・・・お金ないよ?」
レオン「お前は身ひとつで来てくれればいい。どうせいつか一緒になるんだ。結婚の予行演習みたいなもんだろ。」
リア「ホントに、本気なの?」
レオン「冗談でこんなこと言うかよ。」
リア「結婚の話も?」
レオン「ああ。なんだったら婚約してから同棲してもいい。とにかくすぐここを出ろ。俺も実家出るから。」
リア「うんっ!」
リアがレオンに抱きつく。
レオンがリアの背中に腕を回す。
リア「嬉しい・・・。すごく憧れてたの・・・。同棲ってしたことなかったし。」
レオン「お前はあぶなっかしいんだよ。すぐ男が寄ってくるから。」
リア「え?」
レオン「虫除けのために指輪渡したのに、全然効果なさそうだし。」
リア「一ヶ月記念日にくれたこの指輪のこと?」
レオン「ああ。」
リア「ふふっw 虫除けだったんだ?だから肌身離さず着けろって言ってたんだね。」
レオン「あんまり効き目なさそうだけどな。」
リア「そんなことないよ?」
レオン「ある。アランだって、なにもないとか言ってるけどあいつ絶対お前のこと狙ってただろ。」
リア「アランは違うよ~。」
レオン「嘘つけ。男だからわかるんだよ。」
リア「あ、でもキスはされたかな。」
レオン「はぁ?!それいつの話だよ?」
リア「えっと・・・最後の日に・・・・。」
レオン「聞いてねぇぞ。なんで早く言わないんだよ。」
リア「で、でも、おでこにだよ?(不意打ちで口にされた時の話は黙っておこう・・・。) 」
レオン「おでこでもキスはキスだろ!」
レオン「消毒してやる。」
リア「消毒って・・・そこはおでこじゃない・・・。」
レオン「そんなのどうでもいいの。」
リア「もう・・・ん・・・・。」
二人の唇が重なる。
開いた唇の隙間からレオンの舌が入り込む。
レオン「痛って!」
リア「あ、ごめんなさい。傷大丈夫?」
レオン「ん・・・大丈夫。」
リア「もう・・・。痛いくせに・・・・w」
レオン「キスすりゃ治る。」
リア「なにそれw」
スピンオフ リア編 おしまい♪