2013/03/31

宣告








ローガン「お邪魔します。」

リア「どうぞ~。」

















ローガン「へぇ~。綺麗にしてるんだな。」

リア「あんまり物が多いの好きじゃないんだ。」

ローガン「ピンクか。リアっぽい。」

リア「ホント?」

ローガン「ああ。」











リアがローガンに抱きつく。


リア「ローガン、来てくれてありがとう。私、すっごく嬉しい。」

ローガン「そうか?」

リア「うん。」











リア「だって・・・ローガンずっと、下までは送ってくれても家にはあがってくれなかったでしょう。学生の頃からだったし・・・。」

ローガン「そうだな。」

リア「だからなんか・・・家って私の素の部分でもあるわけだし、そこにあがってもらうのって、ローガンが私の奥に踏み込んでくれたってことだから・・・・。」












ローガン「なるほどな。」

リア「うん・・・。だから、嬉しいの。」

ローガン「前から思ってたんだけど。」

リア「うん?」

ローガン「お前って結構賢いよな。」










リア「え~?高卒だし底辺だよ?」

ローガン「いや、学歴とかじゃなくて。」

リア「嬉しい。そんなの言ってくれたのローガンがはじめてだよ。」

ローガン「ははっw」

リア「ローガン・・・キスしてほしいな。」










ローガンがリアを抱き寄せキスする。


リア「んっ・・・・。(ああもう・・・幸せすぎる・・・・。) 」















薄明かりの空。
夜が明けようとしている。

















ローガンが静かに玄関を入ってくる。


















ララの部屋のドアが開く。


ララ「朝帰り?」















ローガン「起きてたのか?」

ララ「眠れなかったのよ。ずっと待ってたんだから。」

ローガン「どうした。なにかあったのか?」














ララ「ラトが・・・流産したそうよ。」


















ローガン「え・・・・それ、本当か?」

ララ「ええ。」
















ララ「彼女と会ってたの?それで朝帰りってわけ・・・?こんなときに・・・のんきなものね。」

















ローガン「それとこれとは関係ないだろ。」

ララ「そんなことっ・・・ないわよ。ディーンもラトも、親友でしょう。」

ローガン「お前・・・なにイライラしてるんだ?」














ララ「別にイライラなんてしてないわ。」

ローガン「生理か?」

ララ「ち・・・違うわよ!」














ララ「もう寝るから!」

ローガン「おやすみ。」


ララが無言のままドアを閉める。



















































ラトーシャ「ん・・・・。」

ディーン「ラト?」
















ディーン「気がづいたか?」

ラトーシャ「ここ・・・。」















ディーン「病院だ。父さんとこの。」

ラトーシャ「ショアの・・・?」

ディーン「ああ。」














ベッドから起き上がろうとするラトを止める。


ディーン「起きなくていいから。」

ララ「でも・・・なんで病院なんか・・・・。」













ディーン「ラト、倒れたこと覚えてないか?」

ラトーシャ「倒れたって・・・・。そういえばうちで・・・・急におなかが痛くなって・・・・。」

ディーン「そのあと倒れたんだ。ラト・・・お前に大事な話がある。」














ラトーシャ「話って・・・・?(まさか・・・あの女の人のことじゃ・・・・。)」

ディーン「ラト、落ち着いて聞いてくれ。」

ラトーシャ「なに?ディーン・・・・顔怖いよ・・・・。(やだ・・・・。聞きたくない。)」















ディーン「赤ちゃんだけど・・・ダメだった。」



















ラトーシャ「え?あか・・・ちゃん・・・・?ダメって・・・・どういうこと?」

ディーン「切迫流産だそうだ。」

ラトーシャ「流産・・・・?」

ディーン「発見が遅れていたら、お前の体も危なかった。お前が助かってくれて・・・ホントに・・・。」













ラトーシャ「嘘でしょ・・・?嘘だよね?」

ディーン「・・・・ホントだ。」

ラトーシャ「やだよ・・・・。やだよぉ・・・・。」













ディーン「ラト!」


ディーンがラトーシャの体を強く抱きしめる。


ラトーシャ「うぇ・・・・。」














ラトーシャ「やだよぉ~・・・・。私の・・・あかちゃ・・・・・。」

ディーン「お前だけでも助かってくれて・・・俺がどんなに神に感謝したかわかるか?」

ラトーシャ「でも・・・・赤ちゃんが・・・・。うわぁ~・・・・。」













ディーン「子供はまたできる。二人でがんばろう?な?」

ラトーシャ「うぇ~・・・・・。」

ディーン「愛してるラト。お前だけいれば俺はいいんだ。お前がいてくれれば。」













ラトーシャ「うわぁ~・・・・。」


ディーンがラトーシャを抱きしめる腕に力を込める。



































年が明けた。
正月の連休も終わり、静かだった街が活気を戻していく。


















ララ「身体のほうはもう大丈夫なの?」

ラトーシャ「うん。」

アイビー「大変だったね。」














ラトーシャ「二人とも、心配かけてごめんね。」

ララ「そんなの気にしなくていいのよ。それよりも、ラトのほうこそ大丈夫?」















ラトーシャ「うん。家族もそばにいてくれたし・・・。」

ララ「そう。ちょうど実家にいるときでよかったわね。もしこの家でディーンが夜勤だったらって考えると・・・・。」

アイビー「そうだよね。」

ラトーシャ「うん・・・。」











ララ「ラトもムリしないようにね。なにかあればすぐ相談しなさいよ?」

ラトーシャ「うん。ありがとう。」















アイビー「今は自分の身体のことを大事にしないとね。ゆっくり休んで。」

ラトーシャ「そうだよね。そうする。」














ララ「ショアまで見舞いに行けなくてごめんね。」

ラトーシャ「そんなのいいよ。こっちに戻ってくるのも遅かったから。二人ともわざわざ来てくれてありがとう。」

アイビー「実家でゆっくりできた?」

ラトーシャ「うん。おかげさまで。」











ララ「そう。よかったわね。」

ラトーシャ「うん。」




2013/03/27

悲報








明け方、ようやく日が昇り空が明るくなってきたころ、ディーンが自宅へ戻ってきた。
外は凍えるような寒さだ。


















ディーン「 (ふぅ~。一眠りしたら準備してショアに向かうとするかな~。) 」

















寝室に入ると机の上の携帯電話に目をやる。


ディーン「 (そういえば携帯忘れて行ったんだっけ。ここに置いたのか。) 」















ディーンが携帯電話を手に取る。


ディーン「 (ん?着信がいっぱい・・・。ラトのお父さんと、父さんからも・・・。向こうでなにかあったのか?) 」















ディーン「 (こんな時間だけど・・・とりあえず父さんにかけてみるか。) 」


ディーンが電話をかける。
呼び出し音が鳴る。













ディーン「あ、もしもし父さん?こんな時間にごめんね。着信があったみたいだから電話したんだけど・・・。」

















ディーン「え?ラトが・・・?・・・・うん。・・・・うん。」
















ディーン「・・・・わかった。すぐに向かうよ。」



















電話をきるとすぐに出発の準備をする。


ディーン「 (もうすぐしたら始発の電車が走る時間だな。電車で寝ればいいか。) 」














ディーン「 (たしか旅行カバンがラトのクローゼットに・・・・あったあった。) 」


急いでクローゼットを開け、カバンを取り出す。
頭上で吊るしてあった服が揺れる。













掛けてあったコートのポケットからなにかが落ちてくる。


ディーン「ん?」















ディーン「 (なんだこの手紙・・・・。) 」



















スターライト ショア。
日が落ちてあたりはすっかり暗くなっている。

















ベッドで眠るラトーシャ。
父親のビリーがその寝顔を見つめてる。


















ディーン「ラト!」


勢いよく病室ドアが開いてディーンが入ってくる。















ビリー「ディーンくん。来てくれたのか。」


ビリーが立ち上がる。


ディーン「ラトは・・・大丈夫なんですか?」














ビリー「心配ない。薬が効いてよく眠っているようだ。」

ディーン「そうなんですか・・・。子供は・・・。」

ビリー「Jさんから聞いたかい?」














ディーン「流れたって・・・・本当なんですか?」

ビリー「・・・・そのようだね。」

ディーン「・・・・・。」

ビリー「・・・・私たちがついていながら・・・すまない。」

ディーン「お義父さん。」











ディーン「すみませんでした!」


突然ディーンが膝を突いて土下座する。


ビリー「ディーンくん・・・?」












ディーン「お義父さんたちにラトのことを押し付けて・・・全部俺のせいですっ!」

ビリー「ディーンくん、それはちがうよ。」

ディーン「いいえ。きっと俺のせいでラトが・・・・。赤ちゃんが・・・・。」

ビリー「ディーンくん、顔をあげてくれ。」


ビリーがディーンを抱き上げ立たせる。









ビリー「君はなにも悪くない。私たちにも罪はある。」

ディーン「いいえ・・・。」

ビリー「望んでいた子供だ・・・君もつらいだろう。」














ディーンの瞳から涙がこぼれる。


ディーン「ううっ・・・。」

ビリー「だがこれもきっとこうなる運命だったんだろう。悲しいことだが、受け入れるしかないな。」

ディーン「お義父さん・・・。」

ビリー「君もつらいだろうが、ラトを支えてあげられるのは君だけだ。ラトのことを頼むよ。」









ディーン「はいっ・・・・。」

ビリー「涙を拭きなさい。」


ビリーがハンカチを渡す。


ディーン「ありがとうございます・・・。」










J「ディーン。来たのか。」


ドアが開いて白衣姿のJが入ってくる。















ディーン「父さん。」

J「お前に話がある。少しいいか?」
















ディーン「うん。」


















廊下へ出る二人。


















J「ラトちゃんは切迫流産だったようだ。」

ディーン「切迫流産・・・。」

J「ああ。」

ディーン「ストレスから・・・?」

J「いや。元々体の弱い胎児だったんだろう。妊娠初期の流産は胎児側に原因があることがほとんどだ。母親のストレスは関係ない。」













ディーン「そうなんだ・・・?」

J「この前のことか。」

ディーン「うん・・・。ラト、知ってたみたいで・・・・。」

J「そうか・・・。」













J「今すぐはまだその話はやめたほうがいいだろう。」

ディーン「そうだよね・・・。」

J「落ち着いたらきちんと二人で話し合いなさい。」

ディーン「うん・・・。」

J「どのような結果になっても、私たちはお前の味方だ。私から母さんにも話しておくよ。」










ディーン「うん・・・。父さん。」

J「なんだ?」

ディーン「ありがとう。」

J「ああ。」













J「今日から休みか。」

ディーン「うん。」

J「ゆっくりしていきなさい。」

ディーン「うん。・・・ラトはいつ退院できるの?」

J「あとで産婦人科の担当医師から詳しい説明があるだろう。父さんは内科だからな、そのへんまではわからない。」

ディーン「そうだよね・・・。わかった。」










アイビー「そうみたい・・・。さっきディーンから連絡がきたんだ。」

















アイビー「ララからローガンに伝えといてくれる?・・・・うん。ごめんね。」

















アイビー「うん。そうだよね。じゃあ戻ってきてから会いに行こっか。・・・・うん、わかった。じゃあまたそのときに。・・・うん、またね。」


















アイビーが携帯電話を切る。


















アイビー「 (ラトが流産・・・・。あんなに喜んでたのに・・・・・。ラト、大丈夫かな・・・・。) 」
















アイビーとの電話を終えて、ララが携帯電話を見つめる。


















ララ「 (ラト・・・・この前のこと、もっとちゃんと相談に乗ってあげればよかった。ラトは大丈夫かしら・・・・。) 」


















ララが部屋を出てリビングへ向かう。


















ローガンの部屋の前で立ち止まる。


ララ「ローガン、いる?」


ノックをして声をかける。
部屋の中からは返事もなく物音ひとつしない。










ララ「 (この前あの子と電話してたとき、会う約束してた・・・。あれって今日だった・・・?) 」

















ララ「 (大丈夫じゃないのは・・・私も一緒ね・・・・。) 」