2015/08/15

女同士































マシュー「ご用でしょうか。」

ドアを開けてマシューが入ってくる。






















ミランダ「ワインを買ってきてちょうだい。」

マシュー「・・・・。」

ミランダ「赤がいいわ。もうなくなりそうなのよ。」





















マシュー「・・・お言葉ですがミランダ様、お酒はお身体に障ります。」
























ミランダ「マシュー・・・あなたの主人はだぁれ?」

























マシュー「・・・・ミランダ様です。」

ミランダ「じゃあ口ごたえしないでさっさと買ってきて。」
























マシュー「・・・・。」













































アイビーがキッチンで手を洗っている。



アイビー「はぁ~おなかいっぱい♪」




















アイビー「 (料理したのなんて久しぶりだったな。今日は一日休みだったし。一人だと外で済ませることが多かったもんな。) 」

























アイビー「 (前までは休みあったらミランダさんのおうちに掃除しに行ったりしてたけど・・・なんとなく今日は行く気になれなかった。) 」

























アイビー「 (マシューさんからは相変わらず連絡はないし、きっとまだ帰ってないってことだよね・・・。) 」























アイビー「 (でも・・・・今日は行かなかったし・・・、電話・・・してみようかな・・・・。) 」























アイビーがポケットから携帯電話を取り出す。

電話帳に登録された番号をプッシュする。





















マシュー『はい。』


アイビー「マシューさん?私、アイビーです。」


マシュー『いいときに電話をくださった。お宅にお伺いするべきか迷っていたところです。』



















アイビー「なにかあったんですか?」


マシュー『すぐに来られますか?リリィ社長には電話したんですが、出られなくて・・・。』




















雨に濡れた夜の街をタクシーが走る。

遠くで雷の音が聞こえる。























ノックだけしてアイビーが部屋に入る。






















ミランダ「遅かったじゃない。ワインは?」


アイビー「ワインなんて買ってきてません。」


横目でミランダがアイビーを見て、小さくため息をつく。


ミランダ「・・・・マシュー、電話するなと言ったはずよ。」


















アイビー「マシューさんは電話なんかしてません。私が連絡したんです。」


ミランダ「・・・屁理屈ね。」

アイビー「ミランダさん、なにやってるんですか?」




















ミランダ「・・・見ればわかるでしょう?呑んでるのよ。」



















アイビー「お酒がおなかの赤ちゃんに影響することはわかってますよね?あなたの身体にも悪いはずです。」

ミランダ「うるさい子ね。マシュー、この子を追い出して。」

マシュー「・・・・。」



















アイビー「マシューさんは出ててください。」


マシュー「・・・・。」

アイビー「お願いします。」

マシュー「わかりました。ドアの外で待機しています。」

アイビー「はい。」














マシューが出て行く。

アイビーは黙って見ている。
ミランダがもう一度小さくため息をついた。





















ミランダ「あなたも出て行きなさいよ。私のことはもうほうっておいて。」




















アイビー「出て行きません。」


ミランダ「・・・・。」

アイビー「ミランダさん、なにがあったんですか?」

ミランダ「・・・・。」

アイビー「あなたはいつも毅然とした態度を貫いていました。ロミオの葬儀の時だって・・・、少なくとも私にはそう見えた。なのに・・・。」














ミランダ「あなたに私のなにがわかるっていうの?」


アイビー「・・・・。」

ミランダ「父親は医者で箱入りのお嬢様。なんの苦労もなく育ってきたあなたみたいな子に。」














アイビー「・・・・。」


ミランダ「わかるわけないわ。あなたと私じゃ生まれた世界が違いすぎるのよ。」






















アイビー「お医者さんを呼びます。」



アイビーがポケットから携帯電話を取り出す。




















ミランダが立ち上がる。


ミランダ「勝手なことしないで。」















ミランダ「契約は破棄するわ。あなたはもう関係ない。今すぐ出て行ってちょうだい。」




















アイビー「勝手なことしてるのはどっちですか?契約破棄なんて、そんなの絶対許しません。」



















ミランダ「誰に口を聞いているつもり?私を誰だと思ってるの?」






















アイビー「ミランダさんはミランダさんです!大女優なんて関係ない!あなたはロミオが愛したただの女!そうでしょう?!」


ミランダ「・・・・。」

アイビー「いままで自分が誰の為にやってきたとおもってるんですか?!いろんなこと我慢して、それもこれもロミオと赤ちゃんの為なんじゃなかったんですか?!」















ミランダ「黙りなさい!偽善者ぶるのもいい加減にして!!」


アイビー「黙りません!私はあなたを尊敬してたんです!なのに・・・。」

















アイビー「あのとき言ったことは嘘だったんですか?!あなたは自分の為にも産みたいって言ったはずです!」


ミランダ「・・・っ。」

アイビー「私だって赤ちゃん欲しかった!あなたは母親になれるじゃないですか!」















ミランダ「もういらない!なにもかも全部いやになったのよ!すべてを手に入れても満たされないこともある、あなたにわかる?!」























パシッ



乾いた音が部屋に響く。

















アイビー「いらないなんてもう二度と言わないで!おなかの赤ちゃんのことだけは、否定しないでください!」



















アイビー「あなた一人の子供じゃない。ロミオの子供でもあるんです!」






















アイビー「私のことが嫌いならそれでもいいです。本当に契約を破棄するっていうなら、リリィ社長を交えてもう一度話し合いましょう。」

ミランダ「・・・・。」

アイビー「でも、赤ちゃんだけはなにがあっても無事に産んでください。そしてあなたが育てるって約束して。そしたら私はもうつきまとったりしませんから。」














ミランダが額に手をやる。

アイビー「ミランダさん・・・。」

ミランダ「泣いてなんかないわ・・・。」
















アイビー「 ? 」

ミランダ「ちょっと気分が・・・・。」

アイビー「大丈夫ですか?横になります?」

















ミランダ「そうね・・・。」

アイビー「今マシューさんを呼びますから、ちょっと座りましょう。」

ミランダ「ええ・・・。」


















イスに座ろうとしたミランダがそのまま倒れる。


アイビー「ミランダさん!」




















アイビー「ミランダさん?!ミランダさん!!」


アイビーが呼びかける。
ミランダの返事はない。
















アイビー「ミランダさん!!しっかりしてください!!」


アイビーの声が部屋に響く。



















マシュー「ミランダ様?!」


ドアが勢いよく開いてマシューが飛び込んでくる。


アイビー「マシューさん、お医者様に電話を!」

マシュー「はい!」















マシューが即座に電話をかける。


アイビー「ミランダさん!しっかりして!」


アイビーはその間も声をかけ続けていた。